伊勢形紙協同組合

伊勢型紙ができるまで Process of creating Ise Katagami

伊勢型紙とは、友禅、ゆかた、小紋などの柄や文様を着物の生地を染めるのに用いるもので、千有余年の歴史を誇る伝統的工芸品(用具)です。
和紙を加工した紙(型地紙)に彫刻刀で、きものの文様や図柄を丹念に彫り抜いたものですが、型紙を作るには高度な技術と根気や忍耐が必要です。昭和58年4月には、通商産業大臣より伝統的工芸品(用具)の指定をうけました。

伊勢型紙とは

型地紙の製造工程

染型紙には、高度な彫刻技術と共に、強くて伸縮しない性質の紙が欠かせません。この紙を型地紙とよび、美濃和紙を柿渋でベニヤ状に張り合わせ、燻煙と乾燥による伝統的な製法で作られます。

型地紙の工程

01 法造り(ほづくり)

200枚から500枚の和紙を重ね規格寸法に裁断します。

02 紙つけ

3枚の和紙を紙の目に従ってタテ、ヨコ、タテとベニヤ状に柿渋で張り合わせます。

03 乾燥

紙つけの終わった紙を桧の張板に貼り、天日で干します。

04 室干し(むろがらし)

乾燥した紙を燻煙室へ入れ、約1週間いぶし続けると、伸縮しにくいコゲ茶色の型地紙となる。
さらにもう一度柿渋に浸し、天日乾燥→室干し→表面の点検という工程を経て型地紙になります。

伊勢型紙の彫刻技法

縞彫り

縞彫り

定規と彫刻刃で均等の縞柄を彫ります。単純な作業のようですが、1本の縞を彫るのに同じ場所を三度続けて小刃でなぞるため、極めて正確な技術が必要です。
1cm幅に、最高で11本もの縞を彫ることもあります。この彫りには「糸入れ」が必要です。

突彫り

突彫り

5~8枚の型地紙を穴板という台に置いて、刃先が1mm~2mmの小刃で、垂直に突くようにして前に彫り進みます。これには補強のために紗張りをすることもあります。
直線や大きな柄を彫る場合に、現在では小刃を手前に引くようにして彫ります。彫り口が微妙に揺れるので独特のあたたかい感じがあります。

道具彫り

道具彫り

刃自体が、花・扇・菱などの形に造られた彫刻刃を使って色々な文様を彫り抜きます。この技法は道具造りから始まり、道具の出来栄えが作品を大きく左右します。
道具彫りの特徴は文様が均一になること、多様な形が表現できることです。江戸小紋では、一般的な技法で、俗に「ごっとり」とも呼ばれています。

錐彫り

錐彫り

小紋を彫る技法では、鮫小紋、行儀、通し、アラレなどの種類があります。刃先が半円形の彫刻刃を型地紙に垂直に立て、錐を回転させながら小さな孔を彫っていきます。 1平方センチに100個ほどの穴が彫られた作品もあり、単調な柄だけに難しい技法とされています。